NHK「みんなのうた」を聴いていた方なら「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」をご存じの方は多いのではないでしょうか。
メトロポリタン美術館(ミュージアム)は、シンガーソングライターである大貫妙子さんの曲で、1984年4月の放送後、何度も再放送されているようです。
作詞作曲大貫妙子
大理石の台の上で天使の像ささやいた
夜になるとここは冷える
君の服をかしてくれる?
タイムトラベルは楽し
赤い靴下でよければかたっぽあげる
エジプトではファラオ眠る
石のふとんにくるまって
呼んでみても五千年の
夢を今も見続けてる
タイムトラベルは楽し
目覚まし時計ここにかけておくから
バイオリンのケース
トランペットのケース
トランクがわりにして出発だ
タイムトラベルは楽し
大好きな絵の中にとじこめられた
独特なテンポとかわいらしい声。
不思議で、それでいて楽しい。
幼少時代大好きな曲でした。
しかし聴いた人の中には、天使の像が話しかけてきたり少女が絵の中に閉じ込められたりして怖いという感情を抱き「メトロポリタン美術館」をトラウマソングに認定している人もいるとか・・・
ちなみに閉じ込められた大好きな絵とはメトロポリタン美術館所蔵のエドガー・ドガ作「ダンス教室」。(みんなのうたの映像がそれだった)
この歌、私は怖いとか全然思いませんでしたけどね😅
寒がる天使に自分の靴下を片っぽあげようとしたり、ミイラに目覚まし時計を仕掛けたり少女の行動がかわいいじゃないですか😊
サビの部分では曲調が明るくなり、映像も天使の像やミイラとダンスして楽しそうだし。
実際に「楽し」と歌っています。
絵の中に閉じ込められても、大好きな絵なら幸せなのかなと。
ただ、なぜ少女は絵画に閉じ込められたのか。
また、時間移動はしていないのになぜタイムトラベルなのか(美術館を探検しているだけではないのか)疑問に思いました。
この曲は児童文学作家E・L・カニグズバーグの『クローディアの秘密』に着想を得てつくられたといわれており、私は『クローディアの秘密』を読んでみることにしました。
~『クローディアの秘密』あらすじ~
11歳のクローディアは、兄弟の中で一番小金をため込んでいる9歳の弟ジェイミーを巻き込みメトロポリタン美術館に家出を計画。
バイオリンとトランペットのレッスンの日、二人は楽器のかわりにケースに替えの下着を詰め家出します。
メトロポリタン美術館に入った二人は守衛の目をかいくぐって美術館の中で夜を過ごし、彫刻がほどこされた天蓋付きの寝台で眠るのでした。
沈黙が頭から足のさきまでしみこんできて、ふたりの心までひたしました。
(中略)
夜警の足音さえ、もう鼻歌か子守歌のようになって、沈黙のしらべにアクセントをつける四分音符となるだけでした。
E・L・カニグズバーグ『クローディアの秘密』より
松永 ふみ子 (翻訳)
美術館で一夜を明かしたクローディアはルネサンスの陳列室で天使の像に心を奪われます。
この像はフランクワイラー夫人が競売に出しメトロポリタン美術館が225ドルで最近買い入れたものですが、実はミケランジェロの作品かもしれないと話題になっていました。
二人は天使の像がミケランジェロの作品である証拠を探し始めるのですが、わずか1日ちょっとで証拠を見つけ美術館に手紙を書きます。
しかし、幼い二人がすぐに見つけた証拠など美術館員はとっくに気付いていました。
それだけではミケランジェロの作品である証拠にはならない・・・
ミケランジェロの作品である証拠を見つけることで女英雄になれると思っていたクローディアは失望します。
どうしてもミケランジェロの謎を解きたいクローディアは、メトロポリタン美術館を離れ弟とともにフランクワイラー夫人を訪ねます。
フランクワイラー夫人はクローディアの秘密と引きかえに二人にあるものを見せるのでした・・・
(続きは作品をお読みください)
謎1、なぜ少女は絵画に閉じ込められたのか⇒不明(作中に無い)
謎2、時間移動していないのになぜタイムトラベルと言うのか⇒昔の作品に触れたり、調べたりしたことをタイムトラベルと表現?
天使の像やミイラは作中に出てきますが、天使の像が「服を貸してくれる?」とささやいたり、少女がミイラに目覚まし時計を仕掛けたりするのは大貫妙子さんのオリジナル表現です。
『クローディアの秘密』を読んで「大貫妙子さんってすごい」と思ったのは、クローディアから着想を得てあのかわいらしい歌がよく出来たなぁということ(~_~;)
実は作中のクローディアは・・・
弟を金づるにして一文無しにさせる
風呂に入ると言って冬の噴水で水浴びし水底の投げ銭を盗む
フランクワイラー夫人を前にして「この人」呼ばわりする
フランクワイラー邸で弟に怒声を浴びせる
1週間弟を連れ失踪し家族を半狂乱にさせる
といったトンデモ少女だったのです( ̄▽ ̄;)
歌のイメージと違い過ぎる・・・
もしかしたらクローディアの数々の問題行動の戒めとして、大貫さんは最後に絵の中に少女を閉じ込めることにしたのかもしれませんね。
本来ならこんなトンデモ少女は座敷牢がお似合いですが、大好きな絵の中だなんて大貫妙子さんって優しい人なんでしょうね。
巧妙にファンタジーでミステリアスな世界観をつくり上げています。
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